ぶどう栽培に欠かせないジベレリン処理

1.ジベレリン処理

ぶどう栽培では開花の時期に併せて、ジベレリン処理を行います。多くの品種では2回行われ、2回目は機械で行われることもありますが、ほとんど全て手作業です。ジベレリン処理は種無しぶどうを作る上では大変大切な作業です。1回目の処理は種無し効果、2回目はどちらかといえば大きな粒にする効果がメインな目的となります。またジベレリン処理は曇りの日で、朝か夕方に行うのがいいとされています。天気のいい日にジベレリン処理を行うと、水滴が残った場所が日焼けを起こしてしまうからです。ジベレリン処理は行うタイミングも重要です。特にデラウェアは1回目の処理でぶどうの出来が決まります。

2. ジベレリンとは

ジベレリンというのは植物ホルモンで、日本人の研究者が発見しました。ジベレリンはもともと植物内で作られ、植物の成長を促すホルモンです。稲の病気の研究をしていた研究者が、稲の毒素がその稲の異常な成長を引き起こす事を発見したのです。そのホルモンの作用を意図的に施すことで、種なしぶどうや大粒のぶどうの生産が可能になるのです。ぶどう農家では成長過程で使い分けて、様々な品種のぶどうを作り出しています。ジベレリンは農薬としても害がなく、安心して使えるため、ぶどうだけでなく幅広い農業分野で活用されています。

 

3. ジベレリンの効果

ジベレリンは種無しを作る以外に、作物に様々な効果をもたらします。それは落下防止です。新梢の伸び始めに散布すると、梢が伸びすぎて弱くなることを調整できるので落ちにくくなります。そして花芽抑制作用もあります。災害などで、葉が落ちると次の葉が生えてくる通常の花芽抑制が出来ないときに、狂い咲きなどで植物の育成サイクルが狂う事があります。そこでジベレリンを使って制御する事でサイクルを調整する事が出来ます。他にもジベレリンには水腐れを軽減させる作用もあります。雨水に弱いぶどうにとっては、安全性も高く水腐れを防ぐ事が出来る、大事な役目をもった薬です。また着果促進作用もあり、実が良くなり、肥大も促進されます。ジベレリンはぶどうにとって、欠かす事の出来ないホルモンです。成長のタイミングに効率よく使う事で、様々な品種や、おいしくて果実の大きなぶどうを作る事が出来るのです。

 

4.  ジベレリンの安全性

ジベレリンは農薬ですが、植物ホルモンの一種です。培養により発酵により作られていて、酵母などと同じカテゴリーのものと考えられます。毒性があるといわれますが、人に与える副作用の心配は少なく安全です。またぶどうに使う場合も、収穫前に散布するようなことがないため、残留農薬としても極めて少ないです。心配な場合は食べる前によく洗えば、さらに安心です。

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