ぶどうの摘粒

1. ぶどうの粒抜き

6月にはさらに大きくなった粒を、粒抜きをして形を整えます。大きくなった粒が密集したまま大きくなると、ぶつかりあって破裂してしまうこともあります。そのため粒の大きさを想定しながら粒抜きをし、1房当たりの粒の数を調整していく作業が為されるのです。本摘粒は2回目のジベレリン処理のあたりの時期で行われます。大粒種の場合は、軸長の基準が7cmから8cm、平均11段から12段で、合計の粒が35粒程度になるようにします。8cm以内にすることで、粒同士が密着し、このように基準がある事で、そろった綺麗な房型になります。また、シャインマスカットなどの高糖度の品種の場合だと、軸長が10㎝~11cmで14段から15段が基準です。品種によっても基準が違ってきますが、基準以上の粒数を残すと1粒あたりの糖度が下がり、全体の味に影響が出るので避けましょう。

 

2. 粒抜きのポイント

本摘粒は失敗すると収穫時に裂果の原因になるため、手順通り慎重に行います。まず、基準軸よりも上の段は切り落とし、段数が12段になっているか確認します。粒が小さいものや、ショットべりーは今以上大きくならないので切り落とし、二股のものは1つにします。また、上段で粒が下向きや内向きになっているものは摘粒します。これは粒が肥大して大きくなった時に、他の粒を圧迫して裂果の原因になるからです。中断では内向きと上下向きの粒を、下段では上向きの粒を摘粒します。向きが異なる粒を残してしまうと裂果の原因以外にも、収穫時にその粒が腐っていたとしても気が付かず、連鎖的に他の粒も腐ってしまうといった事が起こるためです。1房1房丁寧に見る事が大切です。また粒が全体の35粒から40粒程度になっているよう摘粒し、上部に多く残り、下部に行くにつれて少なくなるように整えていきます。ここで丁寧な摘粒をしておくことで、収穫時に綺麗な整形のおいしそうなぶどうに仕上がります。

 

3. 摘粒に使う道具

粒抜きは、粒の大きさに合わせてピンセットやハサミを使うなどして、1房1房形を見ながら整えるようにして行います。おすすめなのは、先端が丸い摘粒ハサミです。尖っているとぶどうを傷つけてしまう恐れもあるからです。首長タイプのハサミの場合は、テコの原理を使って太い新梢(新しく伸びた枝)も楽に切る事が出来るので、女性でも作業がしやすいです。ハサミの反対側に粒を取り出す用のピンセットが付いたものもあります。出来るだけ残った粒を傷つけずに、摘粒しやすい道具を選ぶといいでしょう。

4. 袋かけ

本摘粒が終わったら、病気やの役による汚れ防止、鳥や虫から守るために花穂に袋をかけます。長さを統一したことで、袋にも綺麗に収まります。袋の中で菌などの繁殖を防ぐため、袋掛けをする時は事前に治療薬を散布してから行います。また袋掛けは房に水滴がついていない、乾いた状態で行いましょう。水滴がついていると、カビなどが発生してぶどうが痛む原因になります。

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