1.ぶどう栽培には笠紙が使われています
ぶどう狩りに行ったことがある方やぶどうの直販店に行ってぶどう畑を間近に見たことがある方なら、白い紙に包まれているぶどうが枝に垂れ下がっている様子を見たことがあるのではないでしょうか。この紙の名前や役割まで知っている方は少ないと思いますが、ぶどうを包んでいる紙の名前は「笠紙」といいます。笠紙は正方形の紙で、一か所だけ真ん中まで切れ目が入っています。この笠紙をぶどうにかける作業のことを「笠かけ」といいます。笠かけ作業はすべて手作業で、ぶどうの上に笠ができるように笠紙の切れ目部分から房の根元のつるを覆うようにして丸めてホッチキスでとめます。
2.笠紙の役割とは?
どうして多くの手間をかけてまでひとつひとつのぶどうの房に対して笠かけを行うのでしょうか。それは、ぶどうを守るためです。膨らみ始めたぶどうの実はとても繊細で、直接雨に当たるとカビが生える可能性があります。それだけでなく、強い直射日光に当たって皮が分厚くなり過ぎたり、周辺の葉とこすれて傷が付いたりすることもあります。また、人間が美味しいと感じる甘くてジューシーなぶどうは、鳥や虫にとってもごちそうであることは言うまでもありません。笠紙によってこれらのぶどうの商品価値を下げる事柄から守っているのです。
3.笠紙によってぶどうの美味しさを逃がしません
ぶどうは降水量が少ない地域でよく栽培されていますが、笠紙にはロウが塗られているため、雨をよく弾きます。実が成熟する際に雨に降られても、笠紙のお陰で直接当たることはなく、ぶどうならではの風味や香りを逃がさずにすむのです。笠かけを行うタイミングはぶどうの粒が膨らみ始めた頃です。「もっと早くすればいいのでは?」と思う型がいるかもしれませんが、笠かけによって若干風通しが悪くなってしまうため、タイミングも重要になります。笠紙は薄い紙ですが、笠かけをするのとしないのとでは品質に大きな違いが出ます。この覆いがあることによって、ぶどうをしっかりと守りながら美味しさを逃がさずにすむのです。
4.ぶどうを守るための対策は笠紙だけではありません!
農家の方々が美味しいぶどうを作ろうと手間暇をかけて愛情をたっぷり注いで奮闘されている一方で、鳥たちも何とかして美味しいぶどうを一口でも食べようと虎視眈々と狙っています。そこで、ぶどう棚には上の部分だけでなく横側もすべて防鳥ネットを張り巡らせている様子が多く見受けられます。
ぶどうが好きな鳥はカラスやスズメ、ムクドリなどです。少し傷んだところがある房をきれいに食べ尽くしてくれるのならいいのですが、これらの鳥はまるで味の違いを見極めるかのようにある房のぶどうをひとつつきしては、次の房のぶどうをついばみ始めます。そのため、多くのぶどうの商品価値を下げてしまうことになります。そこで、笠かけをすると同時に防鳥ネットを張り巡らせて鳥やその他の獣が侵入する隙間をなくし、成熟して出荷されるまでぶどうを全力で守っているのです。
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