ぶどうは生食用だけでなく、ワイン用としても日本各地で多く栽培されています。その中でも、初心者向けで人気のぶどうが、「ナイアガラ」や「マスカット・ベーリーA」です。甘口で飲みやすいと評判のワインです。
ナイアガラ種は女性に人気のワイン
ナイアガラは生食用のぶどうよりも、「ナイアガラワイン」という名前のほうが聞き馴染みがあるかもしれません。ナイアガラは果肉がとても柔らかく皮も柔らかいため、剥きやすくとても食べやすいぶどうですが、その分日持ちがしないというデメリットがあります。ぶどうは硬い果実や皮のほうが日持ちがします。そのため、生産地の付近以外はなかなか食べることができません。糖度はとても高く20度以上もあり、果汁も多く含まれているため、ジュース用やワイン用に多く栽培されています。
ナイアガラという名前から、アメリカとカナダの国境にある世界三大瀑布の一つであるナイアガラの滝を想像した方が多いと思います。ナイアガラはその名の通り、ナイアガラの滝があるカナダのオンタリオ州ナイアガラ地方が原産です。日本でも栽培されていますが、そのほとんどがワイン用に栽培されているため、生食用を購入できる機会は少なくなっています。
ナイアガラは、アメリカで最も古い時代に作られてきた「コンコード種」と「キャッサデー種」がかけ合わされた品種です。1893年に日本のワインの父である川上善兵衛氏が日本に伝えました。ナイアガラの白ワインは、そのフルーティーな味わいや甘い果汁の香りの良さから、飲みやすいと女性に人気のワインです。
マスカット・ベーリーA種は甘口以外も人気
マスカット・ベーリーAは生食用の他にも、赤ワイン用にも栽培されているぶどうです。現在は白ワインである甲州ワインに次いで多く、日本でワイン栽培に力がいれられています。マスカット・ベーリーAの果実は大きく皮が薄いという特徴があり、糖度は20度前後と高いです。酸味も程度にあり濃厚な味わいがします。匂いは果実感のあるフルーティーさと砂糖を焦がしたときのような甘さが感じられます。
マスカット・ベーリーAは、最初はぶどう本来の味が甘いため、果汁からはワインよりもぶどうジュースのような味わいがするワインが作れたため、甘口用として生産していました。しかし、近年では辛口タイプのものも販売しています。最近では赤ワインだけではなく、ロゼワインやスパークリングワインのような種類も出てきています。
ちなみにマスカット・ベーリーAの他にも、マスカット・ベーリーBという品種も交配によりかつて生まれていたようです。日本の気候が合わなかったのか、ワインには適さなかったのか、そのうち生産は断念されたようで、今では途絶えています。
マスカット・ベーリーAが誕生したのは新潟県ですが、現在は山梨県がマスカット・ベーリーAの生産量の50%を占めているようです。その他の生産地は、岡山県や島根県、山形県などがあります。