農園の冬に行う剪定は、いいぶどうを作る上でとても大切な作業です。
1.収穫後
収穫が終わり、10月になると、雪が降ってくる前にハウスのビニールを剥がしてしまいます。雪の重みでハウスが潰れてしまうと大変なので、雪が降る前に早めに剥がします。ハウスに張るビニールは、毎年新しいものに交換されます。
2.剪定のタイミング
ビニールを剥がし終わると、11月頃には剪定が行われます。たくさんついた枝を綺麗に剪定しておかないと、雪が積もってぶどう棚が潰れてしまうので、この作業も雪が降る前に行います。切り落とした枝は砕くことで、そのまま肥料になります。
剪定には他にも意味があります。余分な枝を整理して日光が全体に当たるようにし、光合成を効率良くできるようにします。そうすることで、たくさんの養分が作られるので、糖度の高いぶどうになります。
また、枝の整理をすると、果実が多くつき過ぎてしまうことを防ぎます。樹への負担が減り、健康な状態を保つことができるので、樹の寿命も長くなるのです。
風通しも良くなるので、害虫の発生を抑えることができます。1本1本の枝が見やすくなるため、樹の異常にも気がつきやすく、ぶどうの管理もしやすくなる利点もあります。
メインの剪定は、1月から2月が適した時期だと言えます。葉が枯れて落ちた後なので、枝がよく見え、生育具合を判別しやすくなるからです。そして、剪定部分から樹液が多く出ない時期なので、傷みにくいです。樹液が流れてしまうと病気の原因などになるため、樹液の流れにくい冬の間に行います。
次は、5月から7月にかけて枝の調整を行います。上手く管理できていると、この時期の剪定は必要ないこともあります。
間引きや摘心は、混みすぎた枝を整え、枝を伸ばすための養分が房にいかないように、新梢の先端を切る作業のことです。この摘心を行うことで、ぶどうの房の質やぶどうの粒の形も変わってきます。おいしいぶどうを作るためには欠かせない、繊細な作業と言えます。ただし、必要以上に切ってしまったりすると樹が弱るので、この時期の剪定は最低限にしておきます。
3.剪定の種類
品種によって、剪定の種類は3つに分かれます。
前年の枝に2~3個芽を残す短梢剪定は、ゆるやかに生長する品種のシャインマスカット等に向いています。
4~5個芽がついた枝を残す方法を中梢剪定と言います。枝の伸びに勢いのあるナイアガラなどの品種に適しています。
巨峰やピオーネは、切る枝と残す枝の見極めをして行う長梢剪定が向いています。この長梢剪定は見極める目が必要なので、上級者向けの剪定になります。剪定をしながら害虫や病気などのチェックも忘れないようにします。
4.誘引
剪定が終わったら誘引を行います。誘引とは、枝や伸びてきたツルを支柱に固定する作業のことです。樹の形を整え、日光に当たりやすいように固定します。誘引の時期は、剪定後1年から2年後に行うのが適しています。
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